重文聖観音

重要文化財 『聖観音坐像』について

聖観音坐像(しょうかんのんざぞう)  (脱活乾漆造(だつかつかんしつづくり))

一般に観音という場合にはこの聖観音のことをさすが、変化観音と区別して聖の字を冠したもので、諸仏・諸菩薩中最も広く信仰されている。髻(もとどり)はいかにも奈良風に高く結い、地髪部にも細かい髪筋を刻み出し、面相も清純なおとめを思わせる巧みな技法をみせ、胸いちめんに広がる華麗な瓔珞(ようらく)はこの像をひときわ美しいものとしており、香川県下最古最美の像と言われている。

因みに、乾漆造には脱活乾漆造と木心乾漆造の二つの方法がある。脱活乾漆造は、粘土で造った原型に麻布を貼り、それに漆を塗り、それが固まるとまた麻布を貼り、漆を塗る。

これを数回から十数回繰り返し、ある程度の強度をもったものが出来たとき切り開いて中の粘土を取り出し、補強の木枠(きわく)や支柱を入れ、切り口を縫い合わせて像形を整え、表面の面相や瓔珞、衣文(えもん)などの細部は檜(ひのき)材をひいたおがくずを漆で練った木屎(こくそ)をへらで盛り上げ、あと磨いて造りあげるものである。

木心乾漆造は、木で造った概略の原型の上に麻布を貼り、木屎で肉付けをして仕上げる方法である。ともに優美な造型に特色がある。

乾漆像は奈良時代に最も盛行し、平安時代初期に僅かに作例がみられるのみである。

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